今朝、タイマーでつけておいたテレビから、飲むヒアルロン酸のCMが聞こえてきた。飲むと「膝」に良いらしい。歩きをサポートするんだとか。元気な毎日をサポートするんだとか。
うまいこと言うなあって思った。
治る、改善する、という言葉は薬事法に引っかかるから言えないので、遠回りに、でもそれとなくイメージがついて、イメージがついたところで、各視聴者は己が抱える悩み(肌や足腰のトラブル)に当てはめて、これなら治るのかもって「勝手に」期待を抱く。
そのCMを、寝ぼけながら聞いたから、今朝は一気に、飲むヒアルロン酸系について疑問が膨らんできた。何がどういいの?どうして膝にピンポイントで効くの、どういう仕組みで膝に届くの?
私が知っているヒアルロン酸は、トロっとしている粘度の高い液体だ。変形性膝関節症の患者の膝に注射をするのを何年も見てきた。で、あれを飲んだところで胃から吸収されるわけない。とても大きな分子の物質なので献血に使うような太い針でないとアンプルから吸い出せないし注入もできない。もしアレを飲み、吸収されたとしても膝にピンポイントで効くわけがない。そう思うから胡散臭いと感じていて、母も飲みたいって何度も言ってるのだがウンコになって出て来るだけだからと言ってある。
でも本当のところはどうなのかしら。
あちこちのサイトを調べた。
メーカーのサイトはあまりアテにならなかった。原材料一覧の表示が見当たらないメーカーもあった。ヒアルロン酸を飲んでも効果があるのかという質問に対し、学術的論文があると答えているだけで具体的に文献への案内があるわけでもない。医師はサプリは効かないと言ってるがどうなのかという質問に対しては、医師の意見はそれぞれで飲んでいる医師もいる、という、なんだかとてもアレな回答。もう少し書きようがあるだろう。医薬品ではないから病気が治癒することはない、補助的に捉えてもらえたら、みたいには書けないものなんだろうか。
それで行き着いたのが、日本臨床整形外科学会にあった資料だ。http://www.jcoa.gr.jp/health/clinic/knee/koa.pdf
ヒアルロン酸を飲んでも関節に行き渡る程にはならない、全身に拡がるだけ。ただしグルコサミンは痛みや炎症が軽くなったという報告が増えてきているし軟骨形成もされたという実験結果もあるそうで、飲むならグルコサミン。ただしグルコサミンは糖なので、血糖値が一時的に高くなることから糖尿病患者には向かない、のだそう。なるほど…。
ヒアルロン酸に関しては、分子の大きいままだと吸収されないから分子を小さくしたものをヒアルロン酸として加えている物もあったが、分子が大きいから保水力は高いわけで、小さくしたらもう別の物質になるんじゃないかしら…そして分子が大きいから粘度が高くヌルヌルしているだけで、小さくしたら粘度は下がるし、体内でまた分子の大きなヒアルロン酸に結合してそれが関節に行き届くなんて都合のいい事は起きないだろう。